はじまりと課題
世界四大栗の1つである和栗
果樹として栽培されている栗には、大きく分けて、日本グリ(和栗)、西洋グリ、中国グリ、アメリカグリの四種類があります。
和栗はタンニンが強いため渋皮が剥がれにくいですが、食用部分のあくが少なく水分が多いため、上品な味わいになっています。
縄文時代から栗の栽培が行われていたと考えられている和栗ですが、最盛期には6万トンを超えた国内の生産量は、現在約2万トン程度になっています。
遠州・掛川から和栗の魅力を発信
静岡県西部にある掛川市は日本列島のほぼ中央、静岡県の二大都市、静岡市と浜松市の中間に位置しています。
古くから栗栽培が盛んで、山間地をはじめ市内全域で栗の木が育てられています。良い栗を作るには冬場に剪定作業を行い、日当たりを良くすることが大切ですが、掛川エリアは冬も雪は降らず、全国平均を大きく上回る日射量の温暖な気候です。
南は海に望み、小笠山のふもとには穏やかな平野と、江戸時代から人々が守ってきた里山がたくさんあり、栗を作るために必要条件がすべてそろっている栗に最適な土地なのです。
掛川栗の魅力と課題
「掛川の栗」は日光を多く浴びて粒が大きいことが特徴ですが、多くの高級料亭や有名和菓子屋さんから絶賛されている一方で地元では知られていません。
かつては盛んだった掛川の栗農家も後継者不足により、今では全盛期の生産量1/5まで減少しています。掛川の幻の栗「八高(はっこう)」もこぶしサイズの大きな品種。希少な品種も後世に残していくことも使命のひとつです。また、他の果物に比べても、収入性が低く、豊作の際は価格が下がってしまうため、農家にとって安定的な出荷先の確保が課題です。